物は使っていないのに、時間が経つだけで壊れていきます。これを経年劣化と云います。
「土は土に、灰は灰に、塵は塵に」
エントロピーの法則からは逃れることはできず、エネルギーの高低差のない乱雑な状態に向かいます。
我々人間が自然界の物質から多量のエネルギーを使って作り出すものの多くは、自然法則の中では、かなり特異な状態で、いずれは元の物質へと戻ってしまいます。我々生物自身でさえ、複雑な機構で外界からの多量のエネルギーを使って、これに抗って個体を維持していますが、いずれは崩壊してしまうのです。
普段はあまり乗っていない私の車も16年を過ぎると、どんどん劣化が進み、いつ壊れて動かなっても不思議ではありません。
特にこの車は特徴でもある油圧系統が弱く、これまでの故障のほとんどがここに集中しています。
毎回乗るたびに油が漏れていないか、車の下をのぞき込むのが癖になっているほどです。
先日、いつものように駐車している路面を覗くと、油だまりができていました。
これがあると、毎回、そろそろ買い替え時期かなと思うのですが、取り敢えず今回も修理してみることにしました。
ユーザーによる修理はメーカーの保証・修理が受けられなくなる可能性があります。
油だまりを見つけたのは、もう日が沈む時間だったので、ボールにポリ袋を被せた油受けを置き、翌日、修理することにします。
翌朝、油受けには結構な量の油が溜まっていました。
ボンネットを開け、漏れている個所を探します。
LHMタンク下の電磁バルブとホースの継ぎ目付近から漏れています。
ホースクランプも濡れているので、単なる緩みではなく、ホース自体から漏れているようです。
まずは、ホースを取り外して状態を確認する必要があります。
サスペンションの油圧を下げるために車高を最低にします。
念のため、油圧制御が働かないようにバッテリーからの電源供給を止めます。
アキュムレータ横のバルブ(すこし背の高いボルト)を緩め、配管内の油圧を下げます。
問題のホースを止めているホースクランプを緩めます。
ホースを外すと、オイルが流れ出ます。これを油受けで拾います。
思った以上に大量のオイルが出ました。
ホースを見ると亀裂が入っています。
ここが振動の負荷を一番受けていた場所なのでしょう。
本来なら、新しいホースに交換すべきなんでしょうが、今回は、亀裂の入っている部分を切り取ることで対応しました。
元通りにホースを繋ぎ、クランプで固定します。
流れ出たLHMは勿体ないので、再利用します。
埃が入ってしまったので、ペットボトルで作成した簡易フィルタでろ過します。
ペットボトルを上下に分割し、上部を逆さにして漏斗とします。
漏斗にウエスを被せます。今回は着古したTシャツを利用しました。
ろ過したLHMです。
LHMをリザーブタンクに戻します。
バルブを閉め、バッテリーを繋ぎ、エンジンを始動します。
オイル漏れがないことを確かめます。
今回も何とか治りました。