3Dプリンタ(RepRapPro Huxley)のヒーテッドベッドのガタ

投稿 2013/11/09 | デジタル工作機 | hotall

おかしなもので、物を作り終えた後、気持ちに余裕が出てくると、作ったものの粗を探し始めます。
粗が見つかると、現状でも問題なく使えるのに、その粗が気になって頭から離れなくなります。

これは改善を進める前向きな思考形態でもありますが、不必要な手直しによって壊してしまう危険な考えでもあります。




苦労しながらも3Dプリンタが完成して数か月が経過し、最近では安定して出力できるようになりました。
そんなある日、ふとヒーテッドベッドを触ると、ベッドと固定しているねじとの間でガタがあることに気が付きました。

HuxleyのヒーテッドベッドはY軸移動台座と3つのネジで繋がっています。
ホットエンドがZ軸移動においてオーバーランしてヒーテッドベッドに衝突しても損傷しないように、台座との間はネジで完全に固定しているのではなく、下方向についてはネジに通したスプリングで支えるようになっています。

したがって、このネジとベッド側のネジ穴に遊びがあると、今回のように水平方向のガタになってしまいます。
現状はおそらく、ネジの頭とベッドの摩擦のお蔭で目に見えてガタが発生することがないのでしょう。

しかし、重いベッドを高速に移動させているので、実際には多少は滑っているのかもしれません。
そう考えると、折角、苦労して調整したヒーテッドベッドですが、これを放置できなくなりました。





ガタを発見したのは、3つのネジのうち一本で支えている左側のネジです。
二本で支えている右側のネジの方は、ガタは確認できません。

苦労して調整し、ネジロックで固定したベッドですが、苦渋の気持ちで取り外しました。




早速、ネジ穴の径を測定しました。
3.1mmです。0.1mm大きい穴です。

ネジ穴は取り付けやすいように、ある程度の遊びを設けることがあるので、意図的に大きくしているのかもしれません。




一方、ネジの方は太さが2.9mmで、0.1mm細いです。

ネジ山のとがりには丸みが発生するので、M3ネジであっても有効径は3mmより小さくなります。ISO規格では2.773と定められているので、0.2mmぐらいは小さくても不思議ではありません。

実測から、ネジ穴とネジとの遊びは0.2mmであり、これがガタの原因でした。
したがって、この遊びを少なくする必要があります。




まずネジ穴を調整します。

今回はブッシュをはめることにしました。
取り寄せたブッシュはポリアセタール製です。




内径を測定すると、ほぼ3mm丁度でした。

耐熱性が気になるところですが、ベッドのネジ穴付近にはLEDが実装されており、LEDの耐熱が80-90度とポリアセタールの耐熱温度より低いので問題なしと考えました。




ネジは頭の方をネジ切りしていないタイプにし、力を掛けやすいように六角穴付ボルトにしました。

径を測定すると2.95mmです。
ネジ切りしていないので、誤差が少ないようです。

これで0.2mmあったネジとネジ穴の遊びは、0.05mmに縮小することができます。




ベッドのネジ穴にブッシュを挿入するために穴を広げます。

ハンドリーマーを使いベッドの裏から少しずつ広げます。
広げすぎないように少し広げてはブッシュをはめてみるを繰り返します。




バリを取った後、広げた穴にブッシュをはめます。




右側のネジ穴は底板との干渉があるので、縁をペンチで欠きます。




右側のネジ穴にもブッシュをはまめます。




ベッドを新しいネジで元通りに組み付け、高さと水平を調整します。

効果を確かめようとベッドに触ってみると、ガタは皆無でした。
0.05mmあった遊びも、ボルト位置の誤差や傾きなどとの作用でガタがなくなるようです。




今回の結果には満足したのですが、作業中、冷却ファンに触れてしまい羽根を破損してしまいました。

これが今回の改善の代償となってしまいました。
完成品に手を加えるということは、リスクを負うことになるのです。

下表は今回使用した部品です。
項目数量入手
六角穴付ボルト
(M3x30)
3別途購入
ポリアセ ブッシュ
(M3)
3

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