音楽を集中して聞くことが少なくなりました。
聞くとしても、最近ではBGMとして、なんとなく流しているだけで、それも選曲すら億劫と感じているくらいです。
BGMとして以前はよくFMを聞いていましたが、その内容がトーク中心になるにつれ、自然と遠のいていきました。
それに対してトークもCMもほとんど入らずノイズも無いインターネットラジオは、今では唯一お気に入りの音源となっています。
そんな訳で9年前に買ったCDレシーバー(ONKYO CR-D1)は久しく電源を入れていませんでした。
先日、ほこりをかぶったこの機械が、ふと気になり、CDをかけてみました。
すると片方のスピーカーが鳴りません。
スピーカーコードを左右繫ぎ替えてみると、鳴らないスピーカーも逆転するので、どうやらこのCDレシーバーが問題のようです。
更にしばらく再生を続けていると、時々、鳴るようになったり、逆のスピーカーが鳴らなくなったり、症状が安定しません。
鳴るときは音自体に歪もなく音質は良好なので、どこかの接触不良です。
コネクタ周りを色々触ってみても変化はありません。おそらくは内部の半田クラックか接点不良です。
最近のオーディオ機器はボリュームもセレクターも半導体で、この機器も例外ではなく、唯一の信号系統で機械的接触を伴う部品はSP保護用のリレーです。
そこで、まずはこのリレーを交換してみることにしました。
ユーザーによる修理はメーカーの保証・修理が受けられなくなる可能性があります。
背面5つ側面4つのねじを外し、ケースカバーを取り外します。
意外に中はさっぱりとしています。
昔のアンプは、電源トランスとパワートランジスタの放熱板がドーンとあって、いかにも力強い音が出そうな感じでした。
電源も信号回路もデジタルになると、こんな感じなんですね。
問題のSP保護用リレーは中段基盤にありました。
アクセスし易い場所なので基盤を外さずに作業ができそうです。
リレーの各足の半田を取り除きます。
ペーストを塗って、半田ごてで半田を溶かし、吸引器で吸い取ります。
6つすべての足の半田を取り除きました。
リレーを外します。
F&T(富士通高見澤コンポーネント株式会社)のF4AK009Tという製品です。
2回路a接点の9V、接点定格は5A30Vのリレーです。
中国製です。
さて、交換部品を手配しなければならないのですが、同じ部品は見つかりません。それどころか、オーディオ用リレー自体が2、3種類しか見つかりませんでした。
汎用リレーなら選択肢も多いのですが、SP出力はインピーダンスが数オームの回路なので接点抵抗が低いオーディオ用を選びたいところです。
手に入るもので唯一使えそうなのが、パナソニックのALA2F12です。
データシートを見る限り、形状や接点定格は問題ないのですが、コイルの定格がもとの部品が9Vに対し12Vです。
互換性があるとは言い難いですが、感動電圧が75%なので、ぎりぎり9Vで動作しそうです。
念のため、実際のコイルへの印加電圧を測ってみました。
8.87Vです。
ちょっと微妙ですが、製品の規格に対する余裕分に期待して、これを使うことにしました。
これが入手した部品:パナソニックのALA2F12です。
タイ製です。
共立エレショップからネットで購入しました。
並べてみると、全く同じ形状です。
取り付けました。
元通りにカバーを取り付けて完了です。
配線をして、試してみると、全く問題なく動作しました。
無事、直ったようです。
たまには、買い溜めたCDでもゆっくり聞いてみようと思います。
[追記]
問題のリレーを分解してみました。
外見上、摩耗などの劣化や破損は見られません。
余談ですが、コイルの巻き方が雑なような気がします。
接点を拡大してみます。
うっすらとした「くすみ」が見られます。
データシートによるとF4AK009Tの接点は銀合金が使用されています。
ネットで調べてみると銀合金の接点は接触抵抗が低く硬度が高いという利点があるため、広く採用されているが、欠点として酸化膜ができるそうです。この欠点については、通常、酸化膜ができても機械的な接触で剥がれることが多いとのことです。
しかし、この写真で見られる「くすみ」は酸化膜ではないでしょうか。
素人考えですが、我家の使用環境ではこの欠点は問題ではないかと考えます。動作頻度が低い場合は当然、機械的な接触が少ないわけで、被膜は剥がれず、どんどん形成される一方ではないかと・・・。
一方、今回交換した新しいリレー:ALA2F12の接点は、金ニッケル合金に金メッキで、硬度は低いが化学的変化に強いそうです。
私のように頻度が低い使い方には、こちらの方が適しているような気がします。
それに、やっぱり銀より金ですしね。
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