例年、年末はクリスマス、年越しと世の中は祝賀ムードで盛り上がります。
ところが、今年は世間の雰囲気がまったく異なっていました。
私の場合、年末の行事といえば年賀状作りです。
世間の慌ただしい雰囲気に押されて、作り始めます。
ところが、今年はカレンダーを見て慌てて作業を開始したのです。
ここ数年、年末は3Dプリンタ年賀状の作成が恒例となっていました。
この年賀状、3Dプリンタで作った部品を梱包し、組み立ててもらうものです。
昨年、レーザーカッターを購入したので、今年の年賀状は、これを使ったものにしようと考えていました。
どんな年賀状にするか。
何事も、最初は一から考えなければなりません。
まず、購入したレザーカッターは小出力なもので、カットできる素材は限られています。
そんな制限の中で、年賀状に応用できるものとして、まずはペーパークラフトが浮かびました。
今回は、これにしよう。
来年は、丑年、牛の立体をペーパークラフトにすることにします。
既に、いろいろな牛のペーパークラフトはネット上に存在しますが、やはり、一から設計することにします。
ペーパークラフトは平面を切ったり、折ったり、張り合わせることで実現しますが、基本的に平面の組み合わせなので、対象物をデフォルメする必要があります。
しかし、私にはそのようなセンスはありませんので、すでにデフォルメされた人形をモチーフにすることにしました。
福島の郷土玩具、赤べこは、正月のイメージにピッタリです。
これをペーパークラフトに合わせて造形します。
赤べこを、基本、平面だけで表現しなければなりません。
今回は、初めてでもありますので、立方体を基本図形として、なるべく単純な造形とします。
立体の設計は3DCADで行いました。
次に各表面の平面を抽出し、SVGフォーマットで出力します。
これら平面を結合して、展開図を作成します。
平面の境界線で折り曲げると、立体になる訳です。
展開図は、平面なので、すべての面を繋げることはできません。組み立てるときに、分断された境界を貼り合わせる必要があります。
そして、貼り合わせるには、のりしろが必要です。
しかし、実際に出力して組み立ててみると、今回のサイズだと爪が小さく、差し込む作業が容易ではないことに気が付き、この方式を断念しました。
最終的に一般的な糊付け方式にしました。
そして、位置合わせが楽なように、折り合わせて糊付けするようにしました。
爪による貼り合わせ以外にも、角を立体構造にしたり、首を振るように内部から首を出す仕組みを考えていましたが、組み立ての難しさから、簡略化しました。
次に、折線の加工について考えなければなりません。
まずは、よくある折線表記のように破線を考えました。
しかし、実際に破線でカットしてみると、問題があることに気が付きました。
デザイン上、カット線が表に出ることは避けたいので、表面に達しない程度の浅いカットを試してみました。
ところが、実際に折ってみると、方向によって、折りにくい向きがあるのです。
ネットで調べてみると、これが"紙の目"によることが分かりました。
このサイトに詳しく書かれています。
破線カットの幅や深さを増してみると、折りやすくはなるものの、カットは貫通させるしかなく、表面に折線が現れるだけでなく、裂けやすくなってしまったのです。
最終的に、破線は諦め、直線のハーフカットにすることにしました。
カットはすべて切り抜くのではなく、一部は繋げておき、プラモデルのように組み立て時に切り外すようにしておきます。
そして、3Dプリンタ年賀状の時と同じように、年賀状自体を1枚のシートを折り曲げて作り、ペーパークラフトもその一部として組み入れます。
コロナ禍で、年賀状を自粛する向きもあります。
この状況に新年を祝う気持ちも削がれてしまいますが、この年賀状が巣ごもり中の暇つぶしにでもなればと、投函しました。
早くコロナが終息しますように。
下表は今回設計したデータの一覧です。
印刷データおよびカットデータをアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。
項目 | 数量 | 入手 |
---|---|---|
印刷データ(pdf) | 1 | ダウンロード |
カットデータ(svg) | 5 |
厚紙(0.22mm)を切断する際のレーザーカッターの設定は以下の通りです。
(FABOOL-Laser Mini 3.5W)
項目 | 速度 | 出力 | 回数 |
---|---|---|---|
切断 | 550mm/min | 100% | 1回 |
折線 | 1800mm/min | 100% | 1回 |