「サポート材なし」での出力

投稿 2014/10/01 (水) 午前 10:28 | デジタル工作機 | hotall

前回、「サポート材あり」での出力を試してみました。
その結果、サポート材を取り除くには大変な手間と時間が掛かることが分かりました。

それでは横穴のような本来サポート材を付加しなければならない場合に、サポート材を使わないで出力するとどのようになるのでしょうか。
試してみました。



コの字の部分は、どう考えても無理なので、手動で簡単なサポート材を入れて、その他の部分をサポート材を入れずに出力してみました。

予想に反し、一見した限りでは、不具合はなさそうです。

X,Y平面上で1方向だけの幅の狭い横穴は問題ありません。

幅の広い横穴では剥落が見られましたが、これは上部が傾斜している個所だけでした。

X,Y平面上で貫通している穴については一部に剥がれて垂れる部分がありました。
これらの観察から分かることを整理してみると。
天井傾斜が45度ぐらいのせり出しでは剥離は起きない。

天井傾斜が大きいほど、フィラメントの重心が下の層に大きくかかるので、下の層で支えることができます。
それより傾斜が緩やかでも幅が狭ければ剥落は起きない。

穴の天井を形成する箇所に置いて、空中を渡るフィラメントが長ければ、自重で垂れ下がり周辺のフィラメントから剥離してしまいます。
逆に短ければ、自重に耐えることができます。
接地している2点を繋ぐの方向に対し平行であれば、剥落は起き難い。

接地している2点を繋ぐの方向に対し平行であれば、穴の天井を形成する層は2つの接地点の上空を渡る面として形成されるので、フィラメントが上空を渡る1本のロープのように張られるようになり、剥落しにくくなります。

逆に平行でなけれは、穴のの天井を形成する層は傾いている方向に面の端が少しずつずれる形で形成されるので、各層のフィラメントが複数のロープを貼り合わせたように上空を渡るようになります。(左図)
したがって、上の層と下の層の結合点において、自重やノズルの圧力により剥がれる方向に力が掛かってしまいます。
こうなると結合している下の層のフィラメントが冷えて硬化する前に、上の層からの力がかかると支えきれなくなります。

剥離を防ぐ為には上記の設計上の注意点の他に、3Dプリンタの設定に関して以下の注意が必要です。
積層ピッチを小さくしすぎない
熱溶解積層法プリンタでは下の層に上の層の材料を接着することで造形します。
積層ピッチを小さくすると、層の厚さを薄くするために、より強い力でノズルを下の層に押し付けます。

空中を渡る層を形成する場合、天井面の最下層はそれを支える層が存在しないため、その上の層を押し付けるとき、圧力が大きすぎると下の層ごと周辺の部分から剥離させてしまいます。

ノズル温度を高くしすぎない
横穴の天井のように空中を渡る層を形成する場合、天井面の最下層はそれを支える層が存在しないため、出力される材料は自重で崩落しないぐらいの強度とノズル速度に耐えうる粘度が必要です。

また、その上の層からの圧力を支える為、上の層が出力される段階で、下の層が十分に硬化している必要があります。

その為にはなるべく出力される材料の温度を低くする必要があります。

造形物の冷却
上記ノズル温度と同様に、上の層が出力される前に、下の層の材料を冷やして硬化させる必要があります。
その為に、造形物に冷風を当てて強制冷却することで剥離を防ぐことができる場合があります。
(ネット上で公開されている3Dプリンタ出力中の様子を写した写真で、扇風機を造形物に当てているものがありますが、この効果を狙っているためだと思われます。)

以上の点に注意すれば、サポート材を使用しないで出力できることが意外に多いことがわかりました。
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