完全に治った訳ではないが、病気がコントロールできる状態の事です。
機器を直す場合も、完全に初期の性能に戻すことは難しく、そこを求めていくと、時間と労力が、とてつもなくかかってしまいます。時には、修理前よりも悪化してしまうこともあります。
どこまで修理をするのか、どこで納得するのか。いつも悩まされます。
私のレーザーディスクプレーヤー。四半世紀も前の製品です。
デジタル画像に慣れてしまった現在、かつての高画質は、すっかり見劣りするようになりました。
それでも、時々、当時良く観た影像が恋しくなり、LDレコードを回します。
最近、またもやトレイが開かなくなり、また、それ以前にミストラッキングも起きるようになっていました。
廃棄することも考えましたが、無くなると寂しいので、駄目元で、修理することにしました。
ユーザーによる修理はメーカーの保証・修理が受けられなくなる可能性があります。
今回の作業は次の通り。
- ベルトの交換
- 電解コンデンサの交換
時間がかかりそうなので、毎日少しずつ行います。
ドライブベルトは既成のものではなく、自分で作製するウレタンベルトにしました。
ゴムベルトより伸びが少ないので、微調整が必要ですが、耐久性が良いとのことです。
前回のベルト交換と同様に、カバーを外し、トレイを引き出します。
ベルトが滑っているので、モーターに繋がっているプーリーを手探りで回します。
ベルトを外します。
試運転をして、トレイの開閉に問題ないか調べます。
まだ、滑るようであれば、再度、ウレタンベルトを外し、接着個所で切断し、少し短くして再度接着します。
この作業を繰り返します。
このウレタンベルト、通常のゴムベルトより硬いので、馴染むまでに少し時間がかかります。
最初は問題なく開閉できるのですが、しばらく使っていると、滑ることがあります。
私は最終的に2回作業を繰り返しました。
次は、電解コンデンサの交換です。
基板を取り出さなくてはなりません。
基板は4種類あります。
正面から見て、右端に縦置きにされている映像基板。
そのすぐ横に音声基板、
その下に、大きな制御基板、
そして、左端に電源基板です。
シールドで見えませんが、・・・
上が制御基板、下が映像基板です。
映像基板はシールドで覆われています。
制御基板は中央のCPUと右上の錆びたスーパーキャパシタが目に付きます。
ICは背面にあります。
さて、ケーブルにタグを付け、基板の場所をメモしておきます。
コネクタになっているケーブルは、これを外し、はんだ付けされているケーブルは、はんだを取り除き、ケーブルを外します。
基板を本体から取り出し、それぞれの交換作業を行います。
まず、全ての電解コンデンサの電圧と容量を控えます。
これに基づいて、新しいコンデンサを発注します。
電源基板はできるだけ固体電解コンデンサにし、それ以外は国内メーカーの汎用電解コンデンサにします。
音声基板はオーディオ用電解コンデンサにします。
映像基板・制御基板は、基本的にデジタル回路(映像信号はFM変調なので表現は微妙です)なので、そのほとんどがパスコンです。耐久性と周波数特性から、小容量なら積層セラミックコンデンサにし、それ以外は固体電解コンデンサにします。
今回は数が多いので、1日1基板を目標に作業を行いました。
左側にあった小容量の電解コンデンサは固体電解コンデンサに交換しました。
オーディオ用電解コンデンサと一部メタライズドポリエステルフィルムコンデンサに交換しました。
なんとなく見栄えがするようになりました。
錆びていたスーパーキャパシタは新しくなりました。
電解コンデンサは銀色の固体電解コンデンサか青色の積層セラミックコンデンサに交換しました。
これで寿命が延びると思います。
こちらも積層セラミックコンデンサに交換しました。
元通りに組立てて完了です。
それでは、視聴してみます。
あれ、こんなに画像が荒かったかな。
そう思いながら、3枚ほど再生し終わった頃には、画質が改善されていました。
チューナーの時にも経験したのですが、コンデンサを交換した時には、やはりエージングが必要なようです。
そこで、さらに3枚を放置状態で再生しました。
画質は、以前の状態に戻りました。
ミストラッキングもなくなりました。
ただ。どういう訳かトラック情報が読めなくなっています。
エラー表示はないので、内部的な設定でクイック再生モードになったのかと思い、スーパーキャパシタを放電して、リセットしてみましたが、変わりはありませんでした。
まだ色々と対策の余地はあるのですが、通常の連続再生には問題ないので、これ以上、足を踏み入れることは止めました。
ここが、妥協点ですね。
さて、感動が少なくなった昨今、この古くなった頭は交換できませんが、懐かしの映像を観れば、少しは心をリフレッシュできるでしょうか。