ペーパークラフト年賀状(2021)

投稿 水 3/17 16:15:19 2021 | デジタル工作機 | hotall



例年、年末はクリスマス、年越しと世の中は祝賀ムードで盛り上がります。
ところが、今年は世間の雰囲気がまったく異なっていました。

私の場合、年末の行事といえば年賀状作りです。
世間の慌ただしい雰囲気に押されて、作り始めます。
ところが、今年はカレンダーを見て慌てて作業を開始したのです。

ここ数年、年末は3Dプリンタ年賀状の作成が恒例となっていました。
この年賀状、3Dプリンタで作った部品を梱包し、組み立ててもらうものです。
昨年、レーザーカッターを購入したので、今年の年賀状は、これを使ったものにしようと考えていました。

どんな年賀状にするか。

何事も、最初は一から考えなければなりません。
まず、購入したレザーカッターは小出力なもので、カットできる素材は限られています。
そんな制限の中で、年賀状に応用できるものとして、まずはペーパークラフトが浮かびました。
今回は、これにしよう。

来年は、丑年、牛の立体をペーパークラフトにすることにします。
既に、いろいろな牛のペーパークラフトはネット上に存在しますが、やはり、一から設計することにします。

ペーパークラフトは平面を切ったり、折ったり、張り合わせることで実現しますが、基本的に平面の組み合わせなので、対象物をデフォルメする必要があります。
しかし、私にはそのようなセンスはありませんので、すでにデフォルメされた人形をモチーフにすることにしました。

福島の郷土玩具、赤べこは、正月のイメージにピッタリです。
これをペーパークラフトに合わせて造形します。


まずは、立体設計です。
赤べこを、基本、平面だけで表現しなければなりません。
今回は、初めてでもありますので、立方体を基本図形として、なるべく単純な造形とします。
立体の設計は3DCADで行いました。

次に各表面の平面を抽出し、SVGフォーマットで出力します。
これら平面を結合して、展開図を作成します。
平面の境界線で折り曲げると、立体になる訳です。

展開図は、平面なので、すべての面を繋げることはできません。組み立てるときに、分断された境界を貼り合わせる必要があります。
そして、貼り合わせるには、のりしろが必要です。


当初は、糊を使わずに組み立てられるよう、爪を差し込む方式で設計を進めていました。
しかし、実際に出力して組み立ててみると、今回のサイズだと爪が小さく、差し込む作業が容易ではないことに気が付き、この方式を断念しました。

最終的に一般的な糊付け方式にしました。
そして、位置合わせが楽なように、折り合わせて糊付けするようにしました。
爪による貼り合わせ以外にも、角を立体構造にしたり、首を振るように内部から首を出す仕組みを考えていましたが、組み立ての難しさから、簡略化しました。




次に、折線の加工について考えなければなりません。

まずは、よくある折線表記のように破線を考えました。
しかし、実際に破線でカットしてみると、問題があることに気が付きました。

デザイン上、カット線が表に出ることは避けたいので、表面に達しない程度の浅いカットを試してみました。
ところが、実際に折ってみると、方向によって、折りにくい向きがあるのです。
ネットで調べてみると、これが"紙の目"によることが分かりました。
このサイトに詳しく書かれています。

破線カットの幅や深さを増してみると、折りやすくはなるものの、カットは貫通させるしかなく、表面に折線が現れるだけでなく、裂けやすくなってしまったのです。




最終的に、破線は諦め、直線のハーフカットにすることにしました。

後は、折りやすく切れにくい深さを探ります。

カットはすべて切り抜くのではなく、一部は繋げておき、プラモデルのように組み立て時に切り外すようにしておきます。
そして、3Dプリンタ年賀状の時と同じように、年賀状自体を1枚のシートを折り曲げて作り、ペーパークラフトもその一部として組み入れます。


赤べこのデザインをプリンターで印刷し、レーザーカッターで切り抜きます。

はがきサイズに折り曲げて完成です。


コロナ禍で、年賀状を自粛する向きもあります。
この状況に新年を祝う気持ちも削がれてしまいますが、この年賀状が巣ごもり中の暇つぶしにでもなればと、投函しました。
早くコロナが終息しますように。



下表は今回設計したデータの一覧です。
印刷データおよびカットデータをアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。
項目数量入手
印刷データ(pdf)1ダウンロード
カットデータ(svg)5

厚紙(0.22mm)を切断する際のレーザーカッターの設定は以下の通りです。
(FABOOL-Laser Mini 3.5W)

項目速度出力回数
切断550mm/min100%1回
折線1800mm/min100%1回

段ボールPCの作成

投稿 月 12/ 7 20:00:57 2020 | デジタル工作機 | hotall

取りあえずと考えれば、身の回りの素材や部品だけで、必要十分なものは作れるものです。

私の部屋には、まだ使えそうで、捨てられずに、しまっているものがたくさんあります。
これらを見る度に、その活用方法見つけられず、どんどん劣化していくのを、ただ眺めるしかありません。
それでいて、いざ使える機会がくると、その時の最良のものが欲しくなり、新しく買ってしまうのです。

インターネット、スマートフォンの普及に伴い、ネット通販がすっかり生活に浸透しました。加えて、このコロナ禍で、ますます自宅で買い物をする機会が増えました。

届けられた商品を梱包している段ボール、届けられた時点で、その役割を終えます。
収納用、次回の送付用にいくつかはとっておくものの、ほとんどは古紙として廃棄します。
これら段ボールも、使えるけど使わない、身の回りで持て余しているものの一つです。




妻が10年以上使い続けたノートパソコンが、いよいよ動作が怪しくなり、廃棄することになりました。
スマホやタブレットを使うことが多くなったといっても、パソコンでしかできないこともあります。
新しいパソコンを購入するまで、取りあえずの機器が欲しいと聞き、押し入れに眠っているマザーボードを思い出しました。

このマザーボード、以前、ホームサーバー用PCが壊れた時、その原因だと思って買い替えたマザーボードが、実は別の原因だと分かり、余ってしまったもので、捨てられずにしまい込んでいました。

その他にも、12V電源や、PC用のDC/DCコンバータなど、眠っている部品をかき集めてみました。
1台のPCを組み立てるのに必要な部品の大半は集まりましたが、最終的にストレージ、ディスプレイ、ケースが不足していました。

前2つは買ってもらうことにしましたが、ケースは無くても動きます。
費用対効果という意味で、なるべく安く抑え、その分、ストレージやディスプレイに回した方が得策だと考えました。

身近なものでケースを作れないか。

手元にあるものは、3Dプリンタ、ネジ類、そして最近購入したレーザーカッター。
3Dプリンタでは、小さな部品は作れますが、大きなものは作れません。
そこで、レーザーカッターで板素材をカットして側を作ることにしました。

その素材をどうするか。
部屋を見渡して、まず、目に入ってきたのは段ボールでした。
さすがに、そんな華奢なものは使えないのでは、そもそも、チープすぎではないかと思いましたが、ものは試しと、妻の承諾のもと、使ってみることにしたのです。


この文書は個人的なものであり、内容について一切の責任を負いかねます。



段ボールはa〇〇〇〇nから送られた梱包材で、その内側に入っている比較的きれいな、商品を固定しているものを使います。
レーザーカッターで切断し、強度を増すため、二枚重ねに木工ボンドで張り合わせます。
六つの面の固定は、3Dプリンタで作った部品と皿ネジを使います。3Dプリンタで出力後、皿モミとタップを切ります。

完成しました。

正面の様子です。

背面の様子です。

内部の様子です。

LEDはボンドで固定、スイッチは3Dプリンタで作った部品で固定しました。

最終的に縦置きに据え付けました。
よく見れば、段ボール感は否めませんが、ぐらつきもなく、十分安定しており、実用上は全く問題ありません。

取りあえずと考えれば、ことを始める敷居は低くなり、一歩踏み出すことができます。
そして、最良を追い求めなければ、使えずにしまい込んだものを棚卸しして、それらを活用できるのだと実感しました。



下表は今回設計・使用した部品の一覧です。
3Dデータ(STLファイル)もアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。
項目数量入手
側板固定具(a,b,c)3-1-4ダウンロード
スイッチ固定具(a,b,c)1
皿ネジ(3mm)4ネット
LED(3mm)2
押しボタンスイッチ フジソク プッシュスイッチ BP1F1
マザーボード asrock J3710-ITX1
メモリ Crucial D3N1600CM-4G2
12電源 イーター電機工業 スイッチング電源 ERD12SA1
DC/DCコンバーター:picoPSU-901
SSD:Crucial SSD 500GB MX5001

段ボールを切断する際のレーザーカッターの設定は以下の通りです。
(FABOOL-Laser Mini 3.5W)

項目
速度600mm/min
出力100%
回数5回

レーザーカッター(FABOOL-Laser Mini)ケースの作成

投稿 月 11/23 13:18:57 2020 | デジタル工作機 | hotall

レーザーカッターでテーブルを焼いてしまった件で、うっかり者の私にはケースが必要だと気づきました。
勿論、メーカーでもケースは購入できるのですが、今回は自分で作ることにしました。


この文書は個人的なものであり、内容について一切の責任を負いかねます。



材質は、安価、軽量、加工のしやすさから、木材にします。
角材とべニア板をホームセンターでカットしてもらい、スイッチやブロアなどはネットで購入しました。
ブロアやスイッチの穴など、べニア板の細かな加工は、レーザーカッターで切り抜きます。


骨格となる角材とべニア版を木工ボンドで接着します。

ゴム足を付ける穴をドリルで開け、鬼目ナットを埋め込みます。

ブロアパネル取付用の鬼目ナットを埋め込みます。

各面を木工ボンドで接着・組み立てます。

天板は、ヒンジで開閉できるようにし、ソフトダウンステーで、ゆっくりと閉じるようにします。

本体は3Dプリンタで作成したL字部品で、4か所を骨格である角材に固定します。
角材側には鬼目ナットを埋め込みます。
本体側は、その4つの足にネジ穴があったので、これを使用しました。

配線は固定端子台で行います。

ACアダプタは箱の内部に3Dプリンタで作成した部品で取り付けます。

発火対策として、天板をアルミ板でカバーし温度ヒューズを取り付けます。

パイロットランプ(LED)付きのスイッチを取り付けます。
ACアダプタのACケーブルを切断し、その間をスイッチで繋ぎます。
LED用の12V電源は、制御基板から取りました。

天板が空いている時は、レーザーが出力されないようにします。
もともとレーザーカッターの足についている安全スイッチと並列に、天板が閉じていることを検出するスイッチを取り付けます。

ブロアを取り付け、煙や臭いを排出できるようにします。

空気の取り入れ口として、底板の奥行きを少し短くし、前面側に隙間を作ります。

排出にはフレキシブルパイプを使い、ブロアに取り付けるためのアダプタを3Dプリンタで作成しました。
取付穴の位置を間違ってしまったのですが、出力するのも面倒なので、今回はドリルで開け直しました。

ブロアにフレキシブルパイプを取り付けます。

出来上がりました。

開いたところです。
天板を少し下げると、ゆっくりと閉じていきます。

内部の様子です。
今回は組み立てに、木工ボンドを使用したので、接着時間が必要で、組上がりに1週間、更にソフトダウンステーメーカーとのやり取りで1カ月以上と、思ったより時間を要しましたが、我ながら上出来で、満足しました。
これで、レーザーカッターが安心して利用できる環境が整いました。



下表は今回設計・使用した部品の一覧です。
3Dデータ(STLファイル)もアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。
項目数量入手
ブロアホースアダプタ1ダウンロード
ホース固定具1
本体固定具(1-4)1
ACアダプタ固定具1
シナベニヤ板(4mm)適宜ホームセンター
ラワン角材(14mm)適宜
フレキシブルホース(100mm)適宜ネット
ソフトダウンステー右用1
鬼目ナット(3mm)適宜
温度ヒューズ(109℃)1
押しボタンスイッチ(LED12v)1
ゴム足(16mm)4
端子台(6P/5mmピッチ)1

レーザーカッター(FABOOL-Laser Mini)でべニア板の切断とレーザーユニットの改造

投稿 金 11/20 12:27:47 2020 | デジタル工作機 | hotall

レーザーカッター(FABOOL-Laser Mini)による紙の切断に続き、4mmシナべニア板の切断に挑戦してみました。


ところが、出力、スピード、回数を色々と調整しても、一向に貫通しません。
一定の深さまで切断した後は、何度、繰り返しても、ほとんど切断が進まないのです。

この文書は個人的なものであり、読者による改造を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。



切断面をよく観察してみると、その原因の一端がわかりました。
レーザーカッターは、レーザーの熱で材料を燃やして切るのですが、その際、材料が燃えたときに発生する炭化物が、レーザー光が材料に照射されるのを妨げるのです。

この問題を解決するには、発生する炭化物を取り除かなければなりません。
そこで、切断個所にエアーを拭き付け、炭化物を吹き飛ばすことにしました。

もともとレーザーユニットには、レーザー素子を冷却するためにファンがついており、この風が結果的に切断個所に吹き付けられています。
この風を強くすれば、炭化物を吹き飛ばせるだろうと考えたのです。


レーザーユニットは筒状になっており、上部に取り付けられているファンの力で、上から下に空気が流れるようになっています。

この筒の出口を狭めれば、材料に吹き付ける風を強めることができます。

吹き出し口に付けるノズルを3Dプリンタで作ります。

まずはCADで設計します。
狭くするほど風速は高まりそうですが、狭くすれば抵抗が大きくなり、本来のファンの目的である冷却性能が落ちてしまいます。


今回は、面積を1/10程度に狭めることにします。ファンの風量が一定であれば、風速は10倍になるはずです。

ノズルの底面は光軸を中心に穴をあけ、空気がスムーズに流れるように、内側はすり鉢状にします。

3Dプリンタに出力します。

試しにユニットにはめてみました。
サイズはピッタリのようです。

加熱防止のため、反射光が当たらないように外側にアルミ箔を両面テープで貼ります。

穴の部分は、切込みを入れ、内側に折り返します。

レーザーユニットには、両面テープで固定します。

出来上がりました。

試し切りをしてみます。
以前は、ほとんど貫通しませんでしたが、なんとか貫通するようになり、改善したことが確認できました。

パラメータを変えながら、最適な条件を探ります。

結果は以下の通りです。

項目
速度700mm/min
出力100%
回数28x20回


ノズルの3Dデータ(STLファイル)をアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。

項目数量入手
ノズル1ダウンロード

レーザーカッター(FABOOL-Laser Mini)の購入

投稿 月 11/16 13:33:42 2020 | デジタル工作機 | hotall

3Dプリンターの便利さに味を占めて、次なるデジタル工作機が欲しくなりました。
それはレーザーカッターです。

立体物を作るには、粘土やガラス細工のように柔らかい材料から直接、形を造る方法と、木工や金属加工のように固い材料を切削する方法があります。

どちらの方法が良いかは、材料や造形などの製造条件やコストにより異なります。
3Dプリンタは前者、レーザーカッターは後者の方法となります。



3Dプリンタが直接的で自由な造形方法に対し、レーザーカッターは切断することにより造形する機械です。

3Dプリンタは比較的自由に造形ができる反面、精度や積層痕など仕上がりの問題があり、また、材料にも制約もあります。

これに対し、レーザーカッターは、比較的薄い平板しか加工できない制約はありますが、もともとの材料が表面の仕上がりが綺麗であることや、木材など、3Dプリンタでは使えない材料も加工できること、また、その加工精度も安定して得られるのが魅力です。

レーザーカッターの購入を検討するにあたり、当初は透明アクリル板をカットできる。大出力の炭酸レーザーが欲しかったのですが、値段もさることながら、その大きさと重さが、あまりに大掛かりであったため、今回は、半導体レーザーで我慢することにしました。

購入先は安い中国メーカーか、国内メーカーか悩みましたが、交換部品の入手継続性が期待できそうな国内メーカーにしました。
購入したものはSMART DIY'sのFABOOL-Laser Mini(3.5W)です。



ネットで注文すると、早々に段ボール箱が届きました。

この製品はキットですので、自分で組み立てなければなりません。
とは言っても、RepRapの組み立てに3週間かかったことに比べれば、家具の組み立てレベルで、1日で完成しました。

レーザーユニットにコルゲートチューブをタイラップで固定するのですが、ここがグラグラしていたので、固定用の部材を3Dプリンタで作成しました。

早速、コピー用紙をカットしてみます。
焦げた臭いの中、青い光を放ち、カットされていきます。

無事にカットできました。

次に、ケント紙のカットに挑戦しましたが、窓からの風に煽られ、紙がヘッドに被さり、本体がずれてしまいました。
その結果、テーブルを焼いてしまいました。

安全面からも、やはりケースが欲しいですね。



コルゲートチューブ固定用部材の3Dデータ(STLファイル)をアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。
項目数量入手
固定用部材1ダウンロード
«Prev || 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 || Next»