Bluetoothヘッドホンアンプ(GO blu)のクリップ作成

投稿 木 4/13 16:26:56 2023 | オーディオ・ビジュアル | hotall

新しく買った製品を前にして、これはどのように使ったらいいのだろうと思うことがあります。

勿論、製品には取扱説明書はあります。
しかし、それは製品の操作説明であって、暗黙の了解といった、それ以前の基本的なことは使用者側の判断に委ねられているのです。




私がスマホの音楽を聴く場合、なるべく身軽にするために、Bluetoothオーディオレシーバーを使います。
ずっとソニーエリクソンのMW600を使っていましたが、これが壊れてしまったので、代わりのものを探しました。

今では機器も進化し、TWSが主流となっています。
しかしながら、使っているイヤホンを捨てるのも勿体ないので、代わり映えがしないと思いつつ、同じドングルタイプのifi audioのGO bluを購入しました。

さて、この製品を前にして、一体これはどのように身に着けていいのか悩みました。

MW600にはクリップが付いており、これで服のポケットなどを挟んでいました。ところが、GO bluにはこれがありません。
仕方がないので、試しにシャツのポケットに入れてみたのですが、操作はし難いし、屈むたびに落ちてしまいます。

色々と思案しましたが、良い方法が思い浮かばす、結局、これにクリップを付けるしかないという結論に至りました。




3D CADで設計し、3Dプリンタで出力します。

出力した部品のバリを取ります。
細かな調整は、やすりを使います。

バネとネジはホームセンターで購入しました。

ただ、バネは思っていたより弱かったので、イヤホンに付いていたコードクリップのものを流用しました。

設計したサイズより大きくなったので、レバーの足の間隔を、やすりで調整しました。

組み立てました。

表側です。

裏側です。
これで、以前に様にシャツを挟めるようになりました。
以前より、製品本体が重いので、少し違和感がありますが、概ね不満はなくなりました。

それにしても、世間のユーザーはどうやって身に着けているのでしょうか。
疑問です。



下表は今回設計・使用した部品の一覧です。
3Dデータ(STLファイル)もアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。
項目数量入手
本体1ダウンロード
レバー1
ネジ・ナット・ワッシャ
M2x15mm
1ホームセンター
バネ1コードクリップ
/イヤホン付属

ラジオ(SONY ICF-7600D)の修理

投稿 金 3/17 17:43:48 2023 | オーディオ・ビジュアル | hotall

必ず訪れるという巨大地震。
災害への備えは必用です。
防災用品の一つに携帯ラジオがありますが、我家には、まともに動くものがありません。




SONY ICF-7600D。40年前に購入し、長く使っていましたが、感度が落ち、ボタンのいくつかは利かなくなったので、今ではすっかり使わなくなっていました。

前回のステレオチューナーのコンデンサ交換に味を占め、このラジオもリフレッシュすることにしました。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。



まずは、電解コンデンサーを交換します。
中を開け、すべてのコンデンサの容量と耐圧を調べます。

蓋を開けると、メイン基板が現れます。
チューナーとは真逆に、小さな基板に小さな部品が、所狭しと詰め込まれています。中には、差し込めない部品が、リード線を引き回して、空いた隙間に押し込まれるように配置されています。
よくもここまで、といった感じです。軽薄短小が得意だったSONYの技ということでしょうか。
密着した部品の表記を、苦労しながら読み取りました。

前回と同様に、なるべくオーディオ用の電解コンデンサに交換しようとしましたが、小型の低電圧のものはなく、より形状の大きなものを購入しました。
いよいよ、交換作業です。

形状が大きくなった分、そのままでは実装できないものもでてきます。

あるものは横向きに配置し、あるものは空いた隙間に配置して、リード線を引き回しました。

それでも入らない場合は、既存の部品(抵抗)を背面に移動したり、ケースを削ったりしました。
苦労の末、交換作業を終えました。
元通りに組立て、動作確認をします。
ところが、電源ボタンを押しても全く動きません。

部品の確認、はんだ状態の確認をし、更には半田が劣化している部分の再半田をしましたが、変化はありませんでした。

半ば諦めかけた時、ふと、制御基板を動かしたとき、一瞬電源が入ったのです。
これは。

制御基板とメイン基板を繋いでいるフィルムケーブルを疑い、ケーブルの導通チェックをすると、2本が断線していることが判明しました。

どうやら、作業中に負荷がかかり、フィルムケーブルのパターンが切れてしまったようです。

ケーブルの断線しているパターンのレジストを剥がし、電線でバイパスすると見事に電源が入りました。

ボタンの一部は相変わらず利かず、ダイレクトチューニングはできませんが、マニュアルチューニングで受信はできるようになりました。

我家はコンクリートの集合住宅なので、電波が入りにくく、まともな受信は諦めていましたが、思いの外、多くの放送局が受信できるようになりました。
低下していた感度が元に戻ったようです。

更に、薄くなった液晶表示も改善されました。
これで当初の目的の大半は達成できたのですが、欲が出てきました。

ボタンを直して、ダイレクトチューニングができるようにしたい。

家電のリモコンで、ボタンが利かなくなることは多々あります。
大概は、メンブレンスイッチの導電ゴムの劣化です。

まずは、導電ゴムの導通チェックをします。
制御基板上のスイッチのシリコンシートを剥がします。

ん?、スイッチの一部にアルミ箔が貼り付けてありました。

そういえば、以前にもボタンが利かなくて、アルミ箔で対処したことを思い出しました。
今回利かないボタンにもアルミ箔が貼り付けてあります。

では、導電ゴムの劣化が原因ではないのでしょうか。

念のため、アルミ箔を剥がして導通チェックをしました。
正常なボタンは導通しますが、利かないボタンは、やはり導通しません。

また、アルミ箔を貼ってもいいのですが、今回は鉛筆の黒炭を塗布することにしました。

鉛筆より粒度の細かいシャーペンの芯を使います。

導電ゴムの上で、シャーペンの芯をカッターで削ります。
軽く削る方が細かい粉末になります。

削った粉をシャーペンのキャップ側で押し回しながら塗り広げます。

一面むらなく銀色に光るようになるまで、こすりつけます。

飛び散った、余分な黒炭はふき取ります。
再度組み上げて、動作確認しましたが、相変わらずボタンが利きません。
どうやら基板側の問題のようです。

まずは、導電塗料の接点をクリーニングします。
消しゴムを使ってみました。

動作確認しましたが、変化なしです。

接点の抵抗を調べてみると、300Ωあります。

接点復活材を塗布してみました。

測定すると10Ωまで下がりましたが、症状は改善しませんでした。

さて、今度は基板のパターンの導通チェックをすると、スルホールの前後で断線しているのがわかりました。

虫眼鏡で見ると、確かにスルホールが飛び出し、パターンが切れているように思えます。
断線個所をバイパスします。

パターンのレジストを剥がします。

剥がした個所に予備はんだをします。

電線で剥がしたパターンとスルホールと繋ぎます。

動作確認をすると、一方のボタンは利くようになりました。
しかしもう一方は利きません。

色々試してみると、外からは見えませんが、どうやら導電塗料の下でパターンとの剥がれがあるようです。

導電塗料を購入してもいいのですが、今回は、より線からほどいた細い線で、にわか作りの接点を貼り付けました。
基板とはレジストで固定しました。
動作確認の結果、ボタンが利くようになりました。

この不具合の原因は、まず、導電ゴムの劣化で、ボタンが利きにくくなり、強く押すようになったため、基板がたわみ、固いスルホールと柔らかいパターンの間で、断線を引き起こした、というところでしょうか。


これで、懸案の不具合はほぼ解決しました。
ただ、時計の液晶が真っ黒に滲んでいるのですが、これはどうすることもできません。通常の使用には問題ないので、そのままにしておきます。

このラジオは防災用品として使えそうです。

ラジオから流れる音は決して高音質ではありませんが、なぜか懐かしさと暖かさが心を癒します。
ノイズや歪み、帯域の狭さも、ラジオという楽器の音色、ということかもしれません。
しばらくは、日常的に楽しみます。

さて、今回も交換した古いコンデンサの性能を調べてみました。

規格容量(μF)に対する容量誤差(%)です。
やはり容量の大きなものは誤差が大きくなっています。

規格容量(μF)に対する内部抵抗(Ω)です。
これも容量の小さなものの劣化が進んでいます。

ステレオチューナー(KENWOOD KT-727)コンデンサ交換

投稿 木 3/16 15:55:36 2023 | オーディオ・ビジュアル | hotall

オーディオ機器は、そのほとんどがデジタルで構成されるようになり、低雑音、低歪み、広帯域が当たり前になりました。
それでも、より高音質が求められるのは、際限のない人間の欲望なのでしょうか。




我家のステレオは、壊れない限り使い続けています。
チューナーも30年前から使っている年代物です。

最近、勝手にシークされ、選曲が外れてしまう不具合が発生するようになりました。
そろそろ寿命かなと思いましたが、直してみることにしたのです。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。



実は、数年前にプリセットが消える不具合があり、これがメモリ保持用のコンデンサの問題であることを突き止め、交換したことがあるのです。

数多くの汎用電子部品の中で、有限寿命が明示されているのは電解コンデンサくらいです。
メーカサイトでは15年の寿命で設計するようにと書かれているものもあるので、30年前の機器では、そろそろ寿命を迎えても不思議ではありません。

また、一つのコンデンサが劣化したということは、他にも劣化したコンデンサがあるはずだと考えたのです。

交換するなら、すべての電解コンデンサを交換してしまいます。

まずは、中を開けて、使われているコンデンサをすべて調べます。
カバーを開けれると、基板が現れます。

メイン基板です。

最近の機器には珍しく、余裕のある部品配置です。
整然とした個々部品の配置、矩形にシルクスクリーンで囲われた機能ブロック、この様子は、計画的に開発された都市のように美しく感じます。

こちらは電源基板です。

リニア電源です。
大容量の電解コンデンサが並んでいます。

さて、これらのコンデンサの容量と耐圧を書き出して、新しい部品を購入します。

もともと使われている部品は汎用品ですが、奮発して新しい部品はオーディオ用にしました。

古いコンデンサを外し、新しいコンデンサに交換します。

数が多いので二日がかりになりました。

以前交換したメモリ保持用のコンデンサです。

手持ちの部品では容量が足りなかったので、複数をパラに繋いでいます。

これも元の容量と同じ新しい部品に交換しました。

すべての部品を交換しました。

元のコンデンサが地味な白/紺色でしたが、オーディオ用コンデンサは綺麗な蛍光色なので、華やかになりました。

ベークライト基板に、様々な形状の部品が整然と並ぶ姿は、昭和の電子回路の美学を感じます。

最近のチップ部品が所狭しと並ぶ基板の、いかにもロボットが組み立てた、無機質な感じとは全く異なります。
再度組み立て、動作させてみました。
不具合はなくなり、心なしか音がクリアになったように感じます。

音源としては、メリットも少なくなったチューナーですが、柔らかな音質は心地よく聞こえます。
アナログレコードが流行っている昨今ですので、チューナーも見直される時代がくるかもしれません。

取り外した、古い部品です。

沢山あります。
折角なので、性能を測定してみました。
DE-5000を使い1KHzで測定しました。

まずは容量です。

グラフは、規格容量(μF)に対する誤差を%表示しています。
0%から大きく外れているのが劣化した部品です。
容量が大きいほど、劣化が激しいことがわかります。

続いては内部抵抗です。

全体的に一様に左上がりになっています。
これは、測定機器の特性やコンデンサ自身の特性もあると思いますが、低い値を結んだ傾向線から外れているのが劣化した部品なのでしょう。

容量の少ない部品ほど、劣化しているものが多いです。
どちらも、結構、ばらつき(縦方向に広がっている)が出ているというのは、一様に部品の劣化が進んでいると云えます。
交換時期だったようです。

耳掛け式イヤホン(ATH-EM7)のイヤパッド再修理

投稿 火 4/20 14:50:12 2021 | オーディオ・ビジュアル | hotall




製品の寿命には、いくつかの要因がありますが、その一つに消耗部品の販売終了があります。

6年前にイヤパッドを交換した耳掛け式イヤホンでしたが、またもこれがペシャンコになってしまいました。

もはや、このイヤホンはサポートを終了しており、補修部品も販売されていません。
部材の経年劣化が進み、耳掛け部のゴムは切れて、代わりにゴムホースで代用している始末です。もっとも、このゴムホースの代用は、耳当りが良く、気に入ってはいますが。

すでに17年を経過していますので、十分使い切ったと云えます。
しかし、まだ、音を出すという主要機能は健在ですので、このまま捨てるのも、もったいないような気がするのです。
そこで、なるべく費用を掛けずに、直してみることにしました。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。



ペシャンコになった原因は、パッド内のスポンジ状の樹脂が、融けるようにつぶれてしまったことです。
そこで、この樹脂だけを交換できればと考えました。

ネットで色々調べたところ、この樹脂はモルトフィルターと呼ばれるもので、その通気性から、オーディオ用の他、エアフィルターなどに使われているようです。

元の厚みと網目の細かさのものをネットで購入し、早速、修理を始めました。


まず、イヤパッドを剥がします。

イヤパッドは、台座の樹脂リングと耳当てカバー、そしてモルトフィルターから構成され、両面テープで本体に固定されています。
先がとがっているもので台座ごと剥がします。



モルトフィルターは、前回と同様に、完全に溶けて張り付いています。

残念ながら、片方はカバーが台座から完全に剥がれてしまいました。

これを無水エタノールで取り去ります。

台座からはがれたカバーは両目テープで貼り付けます。



これが、今回購入したモルトフィルターです。

紙に半径14mmの円を描きます。
これを切り抜きます。

切り抜いた紙を型として、両面テープでモルトフィルタに貼り付けます。

型紙に沿ってモルトフィルタを切り抜きます。

切り抜いたモルトフィルタは型紙を外し、台座にはめます。

台座に両面テープを貼り付けます。

これを本体に貼り付けて完成です。

もとのふかふかのイヤパッドに戻りました。
よく見ると、台座から剥がれたカバーを貼り付けた部分が、少しいびつになっていますが、ほとんど気にならない程度に修復することができました。
これで、当分、使い続けられます。

モルトフィルターはウレタン素材であるので、加水分解による劣化は避けられません。数年後には、また、ペシャンコになるでしょう。
余ったモルトフィルターは、次回の修繕に備えて、湿気を避けて保管しておくことにします。

ヘッドホン(BOSE QuietComfort)プラグ・コードの補修

投稿 金 4/16 14:24:43 2021 | オーディオ・ビジュアル | hotall

ケーブルに断線はつきものです。

これまで、いくつものケーブルを直してきました。
その方法は、いつも同じです。
・断線個所を特定し、その個所でケーブルを切断。
・切断した銅線を半田で繫ぎ、ヒシチューブやテーブで保護します。

この修理の欠点は、その手間と見た目が悪くなることです。
やはり、事前に断線を回避する対策をするのが一番です。


我家のヘッドホンのケーブルがコネクタ部分で被覆が剥がれ、中の電線が見えるようになってしまいました。
このままでは、近いうちに断線することは間違いありません。
そこで、今のうちに補修することにしました。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。




一方の手で、剥がれている個所より前の部分をつまみ、もう一方の手で、更に前の部分の被覆を延ばします。
この時、コネクタには触れず、剥がれている個所に負担をかけないよう注意します。

延ばした被覆が戻る前に、素早く、被覆をつまみます。
すると中の電線が見えるようになります。
広がらない場合は、何回か繰返します。
この作業が失敗しても、絶対にコネクタ側を引っ張ってはいけません。
電線が切れてしまいます。

軟質プラスチック用の接着剤を用意します。

プライマーを電線及び周辺の被覆、コネクタ部分に塗ります。

同じく、内部の電線、コネクタの縁、被覆の端に接着剤を塗ります。

ケーブルの前の部分から延ばした被覆をコネクタ側にずらします。
ちょうど、広げた時と逆の要領で行います。
被覆がコネクタに密着したら、元に戻らないように被覆を指でつまんで押さえておきます。
コネクタと被覆のつなぎ目も接着剤を盛り、爪楊枝などを使って整えます。

指を離しても被覆が元に戻らないように、クリップでつまんでおきます。
接着剤が完全に固まるまで待ちます。
これで、補修は完了です。

ケーブルのグラグラはなくなり、しばらくは安心して使えます。
後々の苦労を考えると、壊れる前の対策は大事ですね。
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