マウス(Microsoft Mobile Memory Mouse 8000)の充電異常

投稿 2013年12月15日 18時17分33秒 | パソコン | hotall

修理を重ねていると、自分の推測が次々と外れ、遠回りをすることがしばしばあります。
後から考えると、なぜ最初にそこにたどり着けなかったかと悔しい思いをしますが、対応をしている時点では、それなりの根拠があり、その推測に疑いもなく進んでいたのです。




先日、妻に私がマウスを直したことを話すと、妻が会社で使っているマウスが充電できないと持ち帰ってきました。

早速、このマウスを直してみることにしました。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。
ユーザーによる修理はメーカーの保証・修理が受けられなくなる可能性があります。







このマウスはパソコン側のレシーバーから充電用ケーブルをマウス本体に繋ぐことで充電します。

充電が開始されると、マウスのLEDが緑色にほたる点滅します。
しかし、問題のマウスは一瞬緑色に点灯したかと思うと、すぐに赤色に点滅します。
この点滅は充電に失敗したことを意味します。




最初に私はバッテリーの寿命を疑いました。
新しいバッテリーに交換しましたが、症状は直りません。

次にバッテリーの接点の不良を疑いました。
これを確かめるには、分解しなければなりません。
まず、バッテリーホルダーの底にあるネジ(トルクスT8)を外します。




次に充電ケーブルの溝にあるネジ(+小)を外します。




最後にシールに隠れているネジ(+小)を外します。




これで上カバーが外れます。
上カバーのスイッチ類を繋いでいるケーブルを外します。




複数の基板が積み重なっています。

一番下の基盤と上の基盤を繋いでいるフィルムケーブルを外します。
コネクタの白いストッパーを上にずらすとケーブルが外れます。




バッテリーを挿入し、疑わしい接点のはんだの電圧を測ってみました。
すると、電圧が測定できません。
やはり接点のはんだ不良だと推測通りだったことに内心嬉しくなりました。




再半田を行い電圧の測定すると、計測できるようになっています。
これで直ったと確信しましました。ところがテストした結果、症状は直っていません。
なぜと思いましたが、単に半田の表面が酸化していただけだったようです。




それならば、他にもバッテリーの接点不良となる箇所があるのではないかと調べてみると、マイナス側のばねが取り付けられている金属板のカシメが緩んでいるように見えます。

カシメを強くしてみるとLEDの緑点灯時間が若干長くなります。
これが問題だったのかと今度こそ故障個所を発見できたと確信しました。




それならば、ばねを金属板に半田付けすれば解決すると考え、これを実施しましたが、期待とは裏腹にこれも解決には至りませんでした。

少し行き詰った感があったので、一度、バッテリーの接続不良の線から離れることにしました。




この充電ケーブルは、一般的な雄雌のコネクタではなく、磁石の力で接点を繋いでいるものです。感覚的に少し頼りない気がします。

そう考えると、接点部分が少し黄色がかって見えます。
前のマウスがスイッチの接点不良だったことを思いだし、この接点を磨くことにしました。




前回と同様に細目の紙やすり(800番)を細く切り取ります。




切り取った紙やすりを爪楊枝の柄の先にテープで貼り付けます。




接点の凹部分にやすりを当てて、表面を軽く擦ります。
再びテストしてみると、一瞬ほたる点滅になりました。
これだったのかと、今度はマウス側の接点も磨いてみましたが、症状は元に戻ってしまいました。

結局この接点の問題ではなかったようです。念のため接続した状態で強く指で端子を押えてみました。押える力は一定なのにLEDの表示が変化します。
何に反応しているのか不思議でしたが、よく見るとマウスを持ち上げている腕が微妙に動き、ケーブルが振動しています。

この時、すべての謎が解けました。
原因はケーブルの断線です。完全に切れた状態ではなく、繋がったり切れたりが頻繁に起きている状態です。

そう考えると、今までの現象がすべて説明がつきます。
対処する度に直ったり元に戻ったりしていましたが、これは、その対処の結果ではなく、ケーブルの状態だったのです。

あまりに単純な原因だったことに疲れがどっと出ましたが、気を取り直しケーブルの断線を直すことにしました。




要領はいつもと同じです。
まず、断線している付近を切断します。




端子側の外側の被覆を剥きます。ブッシュごと根元から抜けてしまいました。
最終的にヒシチューブを被せるので、ブッシュは無くてもかまいません。




中の3本の線の被覆を剥きます。




導線を引っ張ってみると、赤の導線の何本かが抜けました。
ここが断線していたようです。
抜けた線の長さから断線箇所を特定し、そこまで切断します。




導線に予備半田をします。
熱で被覆が縮んでしまいました。




ケーブル側も被覆を剥いて、予備半田をします。




内部の線の被覆と外側の被覆としてヒシチューブを用意します。




ケーブル側の外側の被覆を爪でずらして、内部の線が長く出るようにします。




外側のヒシチューブをケーブルにはめておきます。
ずらした被覆が元に戻らないようにつまんでおきます。私はステンレス製のピンチを使いました。これは何かと便利でよく使います。

コードを接続する前に導線の被覆用のヒシチューブをはめます。

ヒシチューブと被覆に熱が伝わらないようにヒートクリップでつまみ、半田で導線を繋ぎます。




ヒシチューブを熱で収縮させます。

端子には強力な磁石が付いており、半田ごてを近づけると吸い付いてしまいます。
端子の一部を溶かしてしまいました。




ずらしていた被服を元に戻し、外側のヒシチューブを端子の根本まで被せます。




外側のヒシチューブも収縮させます。
これで完成です。

テストしてみると、見事に直っていました。
分かってみれば単純な原因でしたが、最初に浮かんだ推測に振り回され、かなりの遠回りとなってしまいました。

マウス(Logicool M950)のボタン動作不良

投稿 2013年12月08日 13時03分10秒 | パソコン | hotall

「お客さん、これは買った方が安いですよ。」修理の見積依頼をした時に、度々耳にする言葉です。
製品が大量生産され、部品の製造コストが低くなると、一番高いものが人件費となってしまいます。
特に修理は調査から部品交換までの長い工程を、熟練した技術者が行う訳ですから、高い工賃を請求されても仕方のない事かもしれません。

修理を依頼するにしても、最近では内部の基板ごと交換するだけで、部品単位に交換されることは稀になりました。
確かに、工数や要求される技術者のスキルと部品代を天秤にかけると、その方が安上がりなのでしょう。
まだ使える部品ごと捨ててしまう訳ですから勿体ないような気がしますが、費用対効果を考えるとやむ得ない事なんでしょうね。





私のマウスが、突然、おかしな動作をするようになりました。
文章をドラッグ中に勝手に解除されたり、ブラウザの戻るボタンを押すと、二つ前に戻ってしまったりします。

このマウスは保証期間内であれば修理などはせず、新品に交換してもらえるそうです。工賃と部品代のバランスという点では極端な対応です。

今回は保証期間も過ぎていることもあり、新しく買い直すことも考えましたが、問題の個所が限定しているので、直してみることにしました。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。
ユーザーによる修理はメーカーの保証・修理が受けられなくなる可能性があります。




どちらの現象も左ボタンに原因があることは明らかです。
初めは、左ボタンのスイッチ内部の接点の接触不良を疑いましたが、左ボタンを押す力を一定にしてもドラッグが解除されてしまう現象の説明がつきません。
そこで、スイッチと基板の半田クラックではないかと考えました。



まず、マウスソールを剥がします。
その下にネジが現れます。




ネジは、トルクス(T6)ドライバで外します。
電池穴に指を入れて、本体を上下に分離します。

上下を接続しているコードを基板から外します。




ローラーを固定しているピンを外します。




ローラーを外します。




基板とローラーの間にあるばねが無くならないように外しておきます。




センサーからのケーブルを外します。
黒いストッパーを上に持ち上げると、フィルムケーブルが外れます。




基板を固定しているねじをすべて外します。
これで、基盤が外せます。




問題の左ボタンのマイクロスイッチですが、半田の状態を見る限り、特にクラックはないようです。
しかし念のため、再半田してみました。
組み立てて、テストしてみましたが、やはり直っていません。
どうも、スイッチ本体のようです。




マイクロスイッチの型番はOMRON D2FC-F-7Nです。
インターネットで検索してみると、同じような不具合で交換している人が多いことに驚かされました。
ネットで注文しても直ぐにはとどきませんし、中の様子も知りたいので、駄目元で分解してみることにしました。




スイッチのカバ―は左右の底にある爪で固定されています。
先の細いものでカバーの底を広げて外します。
私は先の細いピンセットを使用しました。




爪を外すとボタンと一緒にカバーが外れ、内部が現れます。
可動ばねと接点が見えます。




しかし、想像していたものとは違い、接点には特別な部材がなく、板バネがリード用の金属板に直接接しているように見えます。
私が過去に見たスイッチの多くはマカロンのような接点部品が付いていました。それに比べれば、極めて質素な造りです。コスト重視の為なんでしょうか。




ボタンが当たる場所を押してみると、クリック音とともに可動ばねが下の接点に接触します。
下の接点以外に、他に支えている場所が無いので、物理的には確実に接触しているように見えます。
そうなると考えられるのは接点の表面に不純物が付着していることです。




そこで、細かいサンドペーパーで研磨してみることにしました。
サンドペーパーを細く切り取ります。
今回は800番を使用しました。




削りすぎないように、そっと接点を擦ります。




数回擦った時、突然ポヨヨヨーンとばねが外れてしまいました。
ちょっと焦りましたが、折角なので、接点の様子を詳しく見てみました。

やはり、特別な接点部材は付いていません。
ばね側は凸に打ち出しているだけで、下の接点はリード用の金属板を曲げているだけです。
これでは表面が酸化しても仕方がないような気がします。
そう考えると、ばねや金属板がくすんでいるように見えます。




改めて両方の接点を軽く研磨し、表面のくすみが無くなったことを確認しました。








さて、取れたしまったばねを元に戻すのは大変です。
ばねは接点の反対側の支点部分と、真ん中の弧の字の圧縮ばねの部分の二か所を、ひっかけて取り付けるようになっています。
試行錯誤しながら、30分かけてようやく取り付けられました。

まず、上下の接点の間にばねを入れ、支点部分のみをひっかけます。
次に支点部分が外れないように指で押さえ、圧縮ばねの弧の字の部分を先の細いピンセットでつまみ、下方向に力を加えて土台の金属板にひっかけます。
この際、ばねは斜めにずれてしまうので、ピンセットでまっすぐに戻します。

この作業は言葉で説明するほど簡単ではなく、兎に角細かい作業で、震える指と老眼と戦いながら辛抱強く行わなければなりませんでした。




再び組み立てて、テストしてみます。
問題の現象は全くなくなりました。

どうやら、接点に酸化被膜や硫化被膜の形成、あるいは炭化物などの付着により、接触抵抗が大きくなったことで、出力電圧がスレシホールドレベルの辺りをうろうろしていたようです。

今回は部品代は全くかかりませんでしたが、時間と労力は結構かかってしまい、メーカーの保証対応とは対極の処置となりました。
スイッチの値段が送料込みで500円もしない事を考えれば、スイッチぐらいは交換した方が良策だったかもしれませんね。